【Mac】Ventura のステージマネージャ最高!

2022年11月8日

ステージマネージャ最高

ステージマネージャは、macOS 13.0 Ventura の目玉新機能だ。
 非常に Apple らしい、革新的なデスクトップ環境を提供してくれる。
 Apple はまだ、デスクトップについて考えるのを止めてなかったのである。

使い方

ステージマネージャは、コントロールセンターでオン/オフできる。

または「システム設定」(かつての「システム環境設定」)>「デスクトップとDock」>「ステージマネージャ」のスイッチでも切り替えられる。

ステージマネージャをオンにすると、開いているウィンドウの、最近使った項目四つが左側に整理される。

最前面になったというか、アクティブになったアプリケーションが画面を独占するのである。背面のアプリ画面に気を散らされなくなる、というわけだ。

ステージマネージャの動作

注目すべきはデスクトップアイコンも消え失せるところである。筆者のデスクトップだと geektool の情報が左上にごちゃごちゃして見えるが、基本的にはデスクトップ・ピクチャとアクティブなウィンドウ、そして左に並んだ起動中のアプリ、だけになる。
 とはいえ、デスクトップのアイコンにアクセスしたい場合もある。
 そういう時はデスクトップをクリックすればいい。

デスクトップクリックでアイコンを表示する

デスクトップのクリックで、アイコン表示/非表示を切り替えられる。

デスクトップのウィンドウの重なりについて

筆者は 1995 年ごろにはじめて Mac を購入した。
 当時の OS は MacOS(漢字トーク) 7.5.1。そのころからデスクトップの基本は同じだった。壁紙の上にアイコンが並び、ウィンドウはアクティブ順に重なっていた。使っているアプリから別のアプリに移動する場合は、裏にあるウィンドウをクリックするか、command + tab でアプリケーションを選択した。あるいはミッションコントロールで目当てのウィンドウを捜す、というのもある。
 基本的にウィンドウはデスクトップ上で重なっていたのである。2022 年までずっとそうだった。

デスクトップのウィンドウの重なり

この仕様って変わらないんだろうな、と思っていた。
 でもこれって醜くない、という気持ちは実はあったのである。実は、あった。あったのよ。90 年代から。
 ゴチャゴチャしてるな、とか乱雑な印象、確かにあった。
 考えてみれば、机に書類が散らばっていて、そこに新しい書類ひろげる? という話だ。今までのデスクトップ環境では、広げるしかなかった。でも普通は、隅のほうに未決の書類を積み上げて、机をまっさらにして、新規の書類の場所を作るのが普通じゃね、とも思うんだよね、

「デスクトップに、乱雑にウィンドウが重なりあってる様って醜いな」という認識が、Apple にはあったんじゃねーかな、と想像すると、筆者は嬉しい。ウィンドウズも linux のデスクトップ環境も(linux のディストリのなかには、ステージマネージャのようなアプローチがすでにあるかもしれないのだが)、そこに思いをいたしてなかった、と思うから。Apple は馬鹿だから、「デスクトップって糞ダセーな」という気持ちを頑固にもっていてくれたのかもしれない、そんなふうに妄想できる。
 そう思うとおじさんは嬉しい。

とはいえ、ウィンドウの重なりにはかなり重要な利点があった。
 例えば、Safari で調べた文書の内容を見ながら、エディタになにか入力する。あるいはファインダーのファイルを、ターミナルのウィンドウにドロップする、などの作業はステージマネージャだとやりづらそうに思える。

グループ化

そういう場合はグループ化が出来るのだ。
 やり方は、必要なアプリを左から中央へドラッグするだけ。

グループ化

グループ化の解除も同じで、不必要になったアプリのウィンドウをドラッグで左に戻す。

グループ化の解除

こんなふうにして、必要なウィンドウだけを机に載せ、作業にいそしむわけだ。
 他にも、ウィンドウ左肩にあるフルスクリーンボタンの、「右側にタイル」「左側にタイル」なども活用していけばいいんじゃないかと思う。

右側にタイル

カスタマイズ

カスタマイズは、
「システム設定」>「デスクトップとDock」>「ステージマネージャ」>「カスタマイズ」
 で行う。

ステージマネージャのカスタマイズ

「最近使ったアプリケーション」をオフにすると、左側に並んだウィンドウの列が隠れる。動作はステージマネージャのままだ。

最近使ったアプリケーション、オフ

「デスクトップ項目」をオンにすると、デスクトップに置いたフォルダ等のアイコンが表示される。
 オフの場合、デスクトップをクリックすればアイコンが表示されたが、オンにすると、デスクトップのクリックによる表示/非表示は効かなくなる。

「アプリケーションウィンドウの表示方法」を「ウィンドウを 1 つずつ表示」にすると、複数ウィンドウがある場合、ひとつひとつのウィンドウが独立して扱われるようになる。

ウィンドウをひとつずつ表示

ステージマネージャ最高

ステージマネージャ最高、だと思う。Dock にせよ、ミッションコントロールにせよ、Apple はアプリケーションの切り替えに命でもかけてるんだろうか。まだ新しい提案があったのかよ、と半ば呆れる思いすらする。
 筆者はこの機能を革新的なものと評価するわけだが、これが果たしてユーザに受け入れられるかは微妙かもしれない。受け入れられなければ廃れていく可能性もある。
 とはいえ、こういう挑戦を続けてくれる Apple の姿勢は歓迎したいものだ。

それで、ステージマネージャのおかげで作業効率はどうなったのか、集中できるようになったのか。
 ぶっちゃけ、複数のアプリケーションをまたぐ作業は、効率下がるかもしれない。慣れないうちは特に。今までは「この作業にこれと、これが必要で……」みたいなことは考えずにすんだわけだ。必要なアプリがあれば、Dock を叩いて起動させておけば良かった。いつでも裏にあって呼び出せた。
 ステージマネージャにおいては、左側のサムネからいちいち、必要なものをドラッグしなくてはならない。これは割と面倒くさい。
 しかしながら、いずれ慣れるのではないかと思っている。一度グループ化で環境を作ってしまえば、アプリケーションを終了するまでは、その環境は残されることだし。
 集中できるようになったのか、については、ひとによるだろう。筆者は確実に集中できるようになったと思う。特にエディタで文章を書くときにそれを感じる。裏に safari とかがある時など、自分でも気づかないうちに目移りしていたのだろう。いかに気を散らされていたか気づいて驚いた。
 ひとつのアプリケーションで完結する作業については、作業効率は上がったといっていいように考える。