たぶん Mac 独自の機能、テキストクリッピング

小ネタだし、知ってるひとには何を今更、という話なんだけど、Mac では古くから選択したテキストを、デスクトップ等の Finder 上にドロップすると、テキストクリッピングというものが作られる。

テキストクリッピング

web ブラウザ上の文字を選択し、フォルダのなかにドロップしてみる。

テキストクリッピングの作成

選択した文章の冒頭数文字をファイル名にして、ただちにテキストクリッピング書類が生成される。
 これを開くと、こんな感じ。

テキストクリッピングの中身

選択したテキストが、ファイルとして保存されるのだ。
 しかも、リンクが忠実に再現されており、このリンクをクリックすれば、デフォルトのブラウザで表示できる。
 つまり、気になるリンクを、説明文つきでサクッとメモできてしまうわけだ。
 ただ、テキストとともに選択したはずのイメージは保存されていないように見える。

テキストクリッピングの内容は変更・編集はできない。
 テキストを選択してコピーすることはできる。
 下のほうに「クリッピングの内容 リッチテキスト」と書いてある通り、リッチテキスト・フォーマット(RTF)として保存されるようだ。

編集する場合はエディタで行う。
 テキストクリッピングは、エディタの画面にドロップするとただちにペーストされる。
 Mac の代表的な RTF エディタ、「テキストエディット」にドロップすると、こうなる。

テキストクリッピングに画像がついている

驚くことに、保存されていないかに見えたイメージも再現されるのである。
 なおイメージを含む場合、RTF ではなく、RTFD という文書になる。

ドラッグ&ドロップでテキストを操る

テキストクリッピングは、本来コピーされてクリップボードに収まるべきデータを、ファイルとして形にし、外部に保存する仕組みのように思える。
 保存する場合にも、ダブルクリックで開く場合にも、なにか特別なアプリが起動するわけではない。純然たる OS の機能として開く。軽量であり、応答も素早い。気軽に使える。

テキストエディタにドロップすると、すぐに内容をペーストしてくれるのも良い。
 メモとして使うばかりでなく、たとえば良く使う挨拶文や定型文などをテキストクリッピングしておけば、ドロップだけでペーストできる。
 また、小説等の文章でちょっと書き直したい箇所があった時、書き直す前の文章をテキストクリッピングで残しておけば安心だ。元に戻したり、前の文章と見比べたりできる。
 あるいは、パラグラフを入れ替えたりする時の構成にも使えるかもしれない。

CotEditor や Ulysses のようなプレーンテキストを扱うエディタの場合は、余計なリンク情報や画像はペーストされず、テキストのみがペーストされる。
 テキストクリッピングを CotEditor のウィンドウではなく、アイコンにドロップすると、やはり RTF 文書なんだな、というのがわかる。

rtf はテキストとして開くとこんな感じになる
rtf ファイルをテキストで開くとこうなる

いっぽう Bear や Typora にテキストクリッピングをドロップすると、なんと RTF を Markdown に変換してペーストしてくれる。

Markdown にしてくれる

これは、BearTypora に、リンクや画像の入ったデータをペーストした時の挙動と同じであり、特別驚くようなことではないかもしれない。が、しかし便利である。

テキストクリッピングの歴史は古く、MacOS 7.5 くらいの時はすでにあった。
 いい加減 Windows にもパクられたろうな、と思って試してみたが、今のところ Windows 10 ではテキストクリッピング的なことは出来ないようだ。
 便利だと思うんだけど、よそから見たらさほど魅力的でもないんだろうか(Ubuntu だと似たようなことが出来た気がする。さだかな記憶ではないが)。