【Macで文芸創作】Emacs の org-mode で文章を作成する
emacs に org-mode というものがある。
ついこの間 emacs に触ったばかりの分際で、偉そうにいうこっちゃないけど。
org-mode っていうのはいいもんですな。
🔗 モーレツ! Org mode 教室 その1: 素早くメモを取る
この記事に上記のリンク先以上の情報は書かれていない。偉そうにいうこっちゃないけど。
なので org-mode を使ってみたいというひとは、上記のリンクで勉強したほうがいいと思う。まぢでいい記事だから。
org-mode は emacs に標準でインストールされている、アウトラインプロセッサである。
おそらく Markdown の元ネタになった単純な記法で、プレーンテキストのファイルを高度に操作できる。
プレーンテキストを拡張するアイディアが受けたものか、org-mode には様々な機能が追加された。今やその用途はアウトラインプロセッサだけにとどまらない。メモをとったり、ToDo 管理をしたり、日記を書いたりということが出来る。
まさに文芸創作野郎にうってつけのモードといえるかと思う。
準備
準備として。
org-mode はリターンキーを押さない限り、行が折り返されない。改行なしで書き進めていくと横に長くなってウザいので、ウィンドウの端で行を折り返すよう設定する。
設定は~/.emacs
に(もしくは~/.emacs.d/init.el
に)記述する。
📝 ~/.emacs
;; org-mode 行の折り返し
(setq org-startup-truncated nil)
org-mode は拡張子 .org のファイルを開くと起動できる。option+xを押してからorg-mode
と入力することでも起動できる。
emacs ではこれを M-x org-mode とあらわす。
M というのはメタキーという意味である。Mac ならオプションキーとなる。
のちに出てくる C-x というはctrl + x キーを指す。
大文字の M ならoption、C ならctrlということだ。
アウトラインの操作方法
emacs で C-x C-f を実行し、~/Desktop/test.org
などと新規ファイルを作成する。.org という拡張子のついた org-mode のファイルとされるところの、単なるテキストファイルのバッファが作られる。
ここに項目を書き連ねていくわけだ。
項目は *
(アスタリスク)で作る。
アスタリスクがふたつ、みっつと増えていくごとに子項目となる。
新しい項目は M-ret (オプション + リターン)で自動生成することも出来る。
M-ret で項目を作りつつ、以下のようなものを考えてみた。
* 男たちがバットでぶん殴りあう小説を書きたい
なんかもう、ゾンビが蔓延してる世界で、バットで頭をぶっ叩く武芸が発展しちゃってる。
** キャラクター
*** ジョー倉田
バット武術の若き師範。ライバルのタケオ・クロサワをあやまって殺してしまい、旅に出る。
*** 三沢レイ
バットヌンチャクをあやつるセクシー美女。俊敏な動きと色気でジョーを苦しめる。
*** マックス・サムライ
薄く引きのばした鋭利な金属バットでジョーの首を狙う巨漢。
*** キングゾンビ
ジョーに引けをとらないバット道の使い手ゾンビ。その正体は?
** ストーリー
*** ジョー、タケオをゾンビと間違えて出会い頭に殺傷
不幸な事故だった。
*** ジョー、旅立ちを決意
なにもかも忘れたかった。
まぁこんなふうにやっていくわけなんである。
org-mode では、この項目を、折り畳める。
アスタリクスで見出しになった行でTabキーを押す。
このようになる。
Tabを連打することで親項目、子項目の畳んだり開いたりがループし、見通しよくできる。
ちなみに項目の見出しへすばやくカーソルを動かすには、C-c C-n で次、C-c C-p で前、というのが便利だ。
さらに org-mode ではこの項目の順番を入れ替えられる。項目を上に下に動かして文章の構成を練ることができる。また項目を子項目にしたり親項目にしたり、という変更も簡単だ。
といっても、テキストなんだから、書き直せばいいだけのことなんだが、org-mode ではこれが簡単なキー操作で手間なくできてしまう。テキストなのにアウトラインプロセッサっぽく振る舞ってくれるところがナイスなわけだ。
操作は M-up、M-down。オプション + 矢印キーの上下で、項目を入れ替えられる。
また、M-right、M-left でアスタリスクの数を変えられる。
ジョーの旅の途中で、過去を振り返る形で物語を書き起こしたほうがいいだろう、と考えて構成を変えてみる。
項目をまるっと削除したり、ペーストすることも可能だ。
操作は C-c C-x C-w でカット。C-c C-x C-y でペースト(ヤンクと emacs では呼ばれる)。
このようにして、あっちこっち項目を入れ替えたりして構成し、満足いくものが出来たら、あとは中身を書いて埋めていく。emacs はテキストエディタなので、そのまま執筆に入れる。見出しのついた部分を固まりと考えて、切り貼りしたり戻したりすることも org-mode なら簡単だ。
ひとつの節に書き終えたら、とっととタブで閉じて視界から消し、次へいく。
次へ次へ、と書いていけば、ブログの記事などあっという間である。
アウトラインとあまり関係ないが、ちなみに。
アスタリスクのついた行でShift + →, ←(S-right,left)すると、項目を ToDo 項目にすることが出来る。
このあたりが、org-mode を単なるアウトラインプロセッサにしておかない理由だろう。
ToDo やメモとしての使い方は、たとえば下記の記事などが詳しい。
🔗 生活のすべてを管理できる超強力ツール Org-mode (フェンリル | デベロッパーズブログ
検索すれば、他にもたくさん役に立つ記事が出てくる。
文字の装飾
org-mode では、テキストにマークをつけて意味づけできる。
キーボードから手を離さずに、文字を装飾できるのである。Markdown と似ている。
代表的なところはこんな感じだろう。
* 見出し
**強調**
/イタリック/
_アンダーライン_
+打ち消し+
~inline code~
=そのまま=
[[URL][リンク]]
- リスト
- 項目
- 項目
+ 項目
+ 項目
1. 番号つきリスト
2. 番号つきリスト
| 内容 | その1 | その2 |
| 項目 | その3 | その4 |
| 項目 | その5 | その6 |
こんな感じになる。
これは一部だ。ほかにもいろいろあるので、詳細はググって欲しい。ここでは冒頭で紹介させていただいたモーレツ! Org mode 教室さまのリンクを設置させていただく。
🔗 モーレツ! Org mode 教室 その3: 文章の見た目を修飾する – mhatta’s mumbo jumbo
書き出し
org-mode で作った原稿は、さまざまな形に書き出せる。
コマンドは C-c C-e だ。
HTML、LaTeX、Markdown、OpenOfficeDocument、プレーンテキスト、などの形式への書き出しが可能だ。
HTML へ書き出すとすると、[h] Export to HTML という大見出しをまず選ぶため、 h キーを押す。次に小見出しの [h] As HTML file を選択したいので、ふたたび h キーで選択する。
つまり、文頭の [ ] で囲まれたアルファベットで選択するわけだ。
この記事を Markdown で書き出すと、こんな感じになる。
なかなかいい感じだ。
これを適宜修正して wordpress に持っていってもいい。
しかし試してはいないが、org2blog というものを使っても wordpress への投稿が出来るらしい。
🔗 モーレツ! Org mode教室 その7: org2blog で WordPress に投稿する
org-mode の機能は、情報整理やスケジュール管理など多岐にわたる。
本職のアウトラインプロセッサの実力も確かなものだろう。
筆者はまだ使い始めたばかりだが、アウトラインから執筆への流れのシームレスな感じはかなり気に入った。
動作のあっさりした感じも好みだし、キーボードだけで操作できるのも小気味いい。Windows でも Linux でも使える、というのも大きな魅力だろう。emacs を含めて、使い慣れていけばリターンの大きいものだと思う。